今回は、米津玄師の楽曲『Azalea』について、歌詞を中心に解説していきます。
咲いてた ほら
残していった挿し木(ぎ)の花
あの時のままだ
私はただ あの時と同じように
君の頬を撫でた
アザレアは挿し木によって増えていく植物ですので、この「挿し木の花」はアザレアのことを意味すると思います。
ずっと側にいてって
手に触れてって言ったよね
君が困り果てるくらいに
インタビューでも触れられていた通り、今回の楽曲の歌詞中には「君の頬を撫でた」「手に触れて」などの生身の触れあいを意識したような言葉がところどころに散りばめられています。その要因については、彼自身がこの楽曲を制作するにあたって「恋愛って何だろう?」ということについて深く考えたことにあるのですが、気になった方はインタビュー記事の2ページ目をご覧ください。
誰も知らないプルートゥ
夜明けのブルーム
仄かに香るシトラス
二人だけ鼻歌がリンクしていく
プルートゥと言うのはおそらく、浦沢直樹の漫画作品『PLUTO』に登場するロボットのことを指すと解釈しました。
『PLUTO』は浦沢直樹が手塚治虫の漫画作品『鉄腕アトム』のエピソードの1つである『地上最大のロボット』に新解釈を加えて誕生したいわば『リメイク作品』です。
どちらの作品にもプルートゥというキャラクターは存在し、性能や容姿は似ているのですが、本家のプルートゥとはやはりどこか違うのです。
ドラマ『さよならの続き』では、冒頭場面でこれから結婚する恋人が事故で死んでしまいます。その恋人の心臓を移植したまったく別の男が現れて、残された人間がそこに恋人の面影を見出してしまうのです。
この物語の設定として心臓にその人の記憶が宿るというものがあります。記憶というのは単に覚えているというだけではなく、その人の立ち居振る舞いにも影響を及ぼします。移植を受けた人はそれが理由で、面影を見出してしまうほどに、かつての恋人のような振る舞いをしてしまうのです。
しかし、立ち居振る舞いが似ていたとしても、それは元の恋人ではないのです。この要素は、『鉄腕アトム』と『PLUTO』のプルートゥの関係にすごく似ているなと感じました。
彼はそういった意味で『誰も知らない』プルートゥと言ったのではないかと思いました。
せーので黙って
何もしないでみない?
今時が止まって見えるくらい
君がどこか変わってしまっても
ずっと私は君が好きだった
君はアザレア
『君がどこか変わってしまっても、ずっと私は君が好きだった』
ここにこの曲の全てが詰まっていると思います。
どれだけ変わっても、その変化を認め、受容し、その上で愛し続ける。
今はいませんが、私もパートナーとはそんな関係でありたいなと、ふとそう思いました。
【最後に】
解説はとりあえず一番のみにしておきます。インタビュー記事やドラマをみることによってより一層この楽曲を楽しむことができると思います。興味の湧いた方は是非一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
コメント